司馬遼太郎の小説を読む順番(戦国編)
戦国時代ものも同じように時代順に解説したい。
①「国盗り物語」
前半は“蝮”と言われた代表的な戦国大名・斎藤道三。そして後半は、その道三のDNAを引き継いだ織田信長が主人公。
②「新史太閤記」
タイトル通り、豊臣秀吉の一生が描かれている作品。「秀吉が好き」と公言する司馬遼太郎だが、そんな彼の忖度なのか、秀吉の人生でもっとも彼の評判を下げてしまった「朝鮮出兵」には触れられていない。
③「関ヶ原」
V6の岡田准一主演で映画化もされた司馬遼太郎の代表作ともいえる作品。私の知り合いの司馬遼太郎ファンにも、この作品の評判は高い。
④「城塞」
大阪の陣を題材にした作品。テイスト的には「関ケ原」を踏襲している。大阪方の淀君を中心とした人間模様を見ていると、落ちていく組織の姿がよくわかる内容。
⑤「覇王の家」
最後の最後に天下を奪った徳川家康が主人公の作品。これを読むと司馬遼太郎は徳川家康のことは非常に高く評価しているものの、その反面で徳川家康のようなタイプの人間を非常に嫌っていることがヒシヒシと感じ取れてしまう。
「おれは大嫌いだけど、こういうタイプが結局、成功するんだろう」
そんな司馬遼太郎の心の声を私は感じてしまう。
以上が戦国時代の本筋とすれば、他にも外伝とも言える作品がある。
「豊臣家の人々」
秀吉の親類を取り上げた「豊臣家の人々」も面白い。そもそも武家の家柄でなかった秀吉。ある意味で突然変異して、世に登場した。
秀吉本人は自らの才覚でのし上がったものの、他の親類は何の準備も覚悟もない。なので、狼狽する姿が描かれていたりして、少しユーモアも感じてしまう作品だ。