おすすめ! アングラ劇団①「Project Nyx」
現在、小劇場関係は昨今の事情から自粛が続き、今後の業界を心配する声はあとを絶たない。私もひとりのファンとして、業界を勝手ながら非常に心配している。
ただ、こう残念がっていても、何も生産性はないわけで、ひとりのファンとしては、この自粛が解けた際に、ぜひ足を運んでいただきたいと思っている小劇団を紹介したい。
今回は、アングラ演劇を中心に紹介。
(何をもってアングラなのかは非常に難しいところなので、今回はあくまで私の勝手な印象の“アングラ”ということで理解していただきたい)
第1回目で紹介したいのは「Project Nyx」
新宿梁山泊の水嶋カンナさんが6年に立ち上げたユニット。
総合美術は寺山修司の劇団「天井桟敷」でポスターの制作を手掛けた宇野亜喜良さん。
演出は唐十郎さんの「状況劇場」をへて新宿梁山泊を旗揚げした金守珍さん。
不朽の名作から知られざる傑作まで、忘却の彼方に漂うイメージに息を吹き込み、現代のパフォーマンスとして蘇らせる実験演劇ユニット。
私は「星の王子さま」(2018年=東京芸術劇場シアターウエスト)、「霧野仙子」(2019年=芝居砦・満天星)、「売春捜査官」(2019年=芝居砦・満天星)、「新雪之丞変化」(2020年=スズナリ)などを観劇している。
基本的に女性を中心とした出演者で華やかな舞台が繰り広げられる。
特に私が面白かったのが、カフェ公演の「霧野仙子」。全国のカフェを巡るツアーが毎年企画されている。
「霧野仙子」はアンパンまんでおなじみのやなせたかしと宇野亜喜良さんの同名の共作絵本の朗読劇。
カフェ公演であるため、観客数は非常にしぼられるが、霧野仙子役の桃菜さんの高クオリティーの朗読、ダンスは圧巻。そしてデュオ「黒色すみれ」の生演奏と生歌唱は、本当にぜいたくなひと時を堪能できる。他にも人形遣いの演出やギター演奏等、これでもかというほど、いろいろな要素が詰め込まれた演出は目を離すことができず、あっという間に時間が過ぎてしまう。
これまで小劇場での観劇を経験したことがない方は、この作品を見れば、ハマること間違いないと思う。ぜひぜひ、足を運んでほしい劇団だ。