ひつじ男の話

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酷評されたからこそ見たくなる宇多丸映画評・ベストセレクション①

雑誌等の映画評で、あまり過激に作品を酷評するものを見かけることは少ない。

これには業界的な理由があるそうで、まず作品の悪口を言ってしまうと狭い業界内で嫌われてしまう。嫌われると試写会に呼ばれなくなるので、事前の情報収集ができなくなる。記事化した際などは、場面写真などの提供を受けれなくなってしまう…。

なので、結局、あまりに過激な批判的な記事は映画雑誌等には掲載されなくなってしまう現実があるという。

 

そんな中、数年前から自身のラジオ番組で、タブーなしのような映画評をしいるのが、ラッパーの宇多丸さんだ。

宇多丸さんは東京都出身で早稲田大学法学部在学中にヒップホップグループ「RHYMESTER」を結成。多くのポップカルチャーに精通することで知られ、雑誌「BUBUKA」では長年アイドル論の連載をしている。
ラジオDJとしも評価が高く、2007年にTBSラジオで「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」がスタート。2018年からは同局で帯番組「アフター6ジャンクション」が放送されている。

 

ラジオ番組中の映画評が話題で、詰めの甘い作品には容赦なく、厳しい指摘をするが、面白いことに、そうやって厳しく罵倒された映画を逆に「確認したくなってしまう」というのが、宇多丸さんの映画評の面白いところだ。


以下、代表的な宇多丸さんの映画評を挙げていきたい。

 

●「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(2010年12月公開)

木村拓哉さん主演の映画。TBSラジオ出資の映画であることから、直接の評論に問題があったらしく、暗号放送であった。配役名や俳優名をすべて“暗号”で放送した。

タイトルも「運動選手ヤマダ」に変えての放送。
評価は歴史的酷評でさんざんであったが、その数年後、宇多丸さんはラジオ番組で木村拓哉さんと、ガッツリと対談を行っている。そこでこの時の映画評ことを自ら話すと、木村さんは全然気にしていな様子であった。

結局、最終的には木村拓哉さんが株を挙げた格好になった。

 

●「アマルフィ 女神の報酬」(2009年4月公開)

織田裕二さん主演のフジテレビ開局50周年記念作品。

映画とテレビドラマでは、作り方がまったく違うというのが、宇多丸さんの持論であり、テレビ局主導の映画には厳しい。今作も脚本の詰めの甘さを厳しく批判している。しかし、関連作品である映画「アンダルシア 女神の報復」には一定の評価をしており、あくまで評価は是々非々であることがわかる。

 

●「ROOKIES -卒業-」(2009年5月公開)

人気ドラマの映画化。人気ドラマの視聴者のある一定程度が映画館に足を運べば興業的に成立してしまうという安易な制作方法を厳しく批判している。ワンパターンの演出が何度も行われることを「バカップル」に例えているところが面白い。

 

――パート②に続く